4月17日にNHK教育にて放送された「わくわく英語授業‐私の教え方‐」(田尻悟郎先生編)、『「5分刻み」で英語が好きになる』をみての備忘録を記すことにします。これまで通り、完全に個人的な備忘録であり、感想であるという点を了解して頂ければと思います。(http://www.nhk.or.jp/wakuwaku/)
田尻悟郎先生の授業を流れに沿って見てゆき、その際の「5分刻み」に焦点を当てた番組構成となっていた。授業の流れは、以下の通り。
60秒クイズ(日本語→英語を1分でいくつ言えるか)(5分)
書き取り(最後に言った文を書き取る)(5分)
フォニックスカルタ取り(5分)
Small talk(立場を決めて自分の意見を述べる)(35分)
英会話(Small talkに教員も混じり意見を交換)
最初に私見を述べると、NHKが「5分刻み」を大きくフィーチャーしたのはポイントがずれているのではないかと思いました。理由を以下で述べたいと思いま す。番組中、田尻先生が強調していた点は、英語は体育や音楽と同じ実技教科であり、練習しながら身に付けるものである、というものでした。運動と全く同じ で、ダラダラと反復練習をするよりも、目的意識を持って短時間でも集中して練習するのが必要になります(筋トレしながら、どの筋肉を鍛えているかを意識し ているかのように?)。そうなると、必然的に5分という程度の時間が一つ一つの活動(と言うより練習メニュー)には丁度よい程度になります。これは、順番 的に5分が先にきたのではない、ということを意味します。例えば、「今の子どもたちは辛抱する力がないから、5分ぐらいがいい」というものとは異質のもの ではないか、ということです。
長い目で学生の能力伸長を捉え、その中でsmall stepsを位置付けていく、とも先生は述べていました。5分1セットの活動は、そうしたstepの一段なのだという自覚が教師、学生ともに必要だということを表していたんだと思います。
それから、環境作りにこだわっていた点、動機付けにこだわっていた点も興味深かったです。「音楽室や美術室に来るよう に、英語の部屋に来る」という言葉は機材にお金を掛けたLL教室よりも動機付けが高いのではないかと思わされました(あ、まぁ機械系が苦手なのもあります が…)。
もう一つ、注目して見たのは、「自学ノート」を継続して行っていることでした。先生の著作や院生時代の後輩の方をみよ うみまねで、非常勤先などで「自学ノート」(もどき)をやっていただけに、非常に興味深く見れました。ノートへのちょっとした一言は学生に響いているの は、分っちゃいるけどそうはできないことだと思います。日々のコミュニケーションが現れているんでしょう。
一つ考えさせられたのは、こうした「とびっきりの授業(NHKホームページより)」を見るのはもちろん興味深いのです が、ここに至るまでの道のり(あるいは試行錯誤)が見たいなぁと思ったことです。田尻先生がこうした授業に行き着いた経緯、考えの道のり、などです。ある いは、田尻先生(他、とびっきりの授業をする先生)のもとにやってくる教育実習生が格闘するドキュメンタリーとか…。要するに、過程が見たい、追体験した い、ということなのかもしれません。(19.04.2003)